ENA月火ドラマとして放映され、最終回の視聴率がENAの歴代2位を記録したという「かかし」。パク・ヘスが主演を務め、「過ちを犯した人が過ちを正す話」を描きたかったというイ・ジヒョン作家の言葉がそのまま作品の骨子になっている。
1980年代から90年代初頭にかけて実際に起きた連続殺人事件をモチーフに、故郷カン・ソンに左遷された刑事カン・テジュ(パク・ヘス)が、エリート検事チャ・シヨン(イ・ヒジュン)とカン・ソン日報の記者ソ・ジウォン(クァク・ソンヨン)らと協力しながら、真犯人を追っていく犯罪捜査スリラーだ。テジュの回顧録という形で物語が進んでいくのも、このドラマならではの構成になっている。
中盤で犯人が明かされる場面で、「え〜〜!」と声が出てしまった。久しぶりだった。
怪しい人物の影は幾人かに漂っていて、犯人探しの気分で見ていたのは確かだ。ただ、このドラマの引力は犯人探し自体にあるのではなく、その事件を軸に炙り出される時代の矛盾、社会の歪み、人間のどうしようもなさにある。だから犯人がわかった瞬間、推理が解決したというより、愕然とした。それくらいのめり込んでいたということだと思う。
軍政時代の赤狩り、政治家・検察・警察の権力構造と保身、貧富だけではない出自の闇。ただただ信頼できる美しい世界など、すべて幻想なのか——と思わせるほど、善悪の境界線が曖昧なシーンが続く。実際のところ、良いこともしながら悪いこともする、それが人間なのだろうと感じながら、完走した。
こういうドラマに年に数本出会えるのが、韓国ドラマをやめられない理由だとつくづく思う。
俳優陣は、みんな何度も画面で会ってきたベテランの名優ぞろい。うまい俳優たちの役作りは本当に秀逸だと改めて思う。一人一人が作品ごとに良い役も悪い役も、その時代を生きている雰囲気をしっかりとまとって、今回のように30年という年数をまたいだ若さも、老いた姿も、完全に自分のものにしてこのドラマの役を生きていた。プロとして当たり前のことなのかもしれないけれど、好きな俳優であればあるほど、その演技にしびれてしまう。
ドラマ自体は重い。連続殺人事件や冤罪、何人もの犠牲者が出てやるせないし、カン・テジュをはじめ登場人物の多くの人生も、辛いことが多い。それでも時代を経て、少しずつ社会は良くなってきているのだと感じる瞬間がある。そして、こういうドラマを見ることで、一人一人が「善悪とは何か」という自分の基準を見つめ直せる——そのあたりが、わずかだけれど確かな光だと思うしかない。
見応えのある作品だった。
(U-NEXT 2026年10月29日)






